みなさん、こんにちは。ブログ管理人の敦子です。
今回は潜在意識の基礎や、潜在意識と顕在意識との違いをテーマにお話したいと思います。
私たち人間は、日頃から「今自分が何をやっているか」「どんな状況にいるのか」といった事を意識しながら行動しています。しかし、自分で自覚している意識だけが全てではありません。表面に出ている顕在意識とは別に、いわゆる無意識の潜在意識が存在しているのです。
しかも、潜在意識は顕在意識より人に与える影響が大きい事から、いかに上手にコントロールするかが人生を成功させる秘訣となります。そのため、巷では潜在意識に関する本やCDが販売されていたり、各地でセミナーが開催されていたりしますが、基本的な事であれば特別な専門知識は必要ありません。
まずは潜在意識と顕在意識との違いについて見ていきましょう。
Contents
「潜在意識」は無意識のうちに働く意識 「顕在意識」は表に出てくる意識
潜在意識とは、無意識のうちに働いている意識の事です。
例えば天気予報を見ていて、明日は晴れの予報が出ていると知った時、何気なく「明日は晴れるんだ、良かった」と思った経験は誰でもあるでしょう。
そう思う背景には、「晴れたら洗濯物が乾く」「外出にカサを持っていかずに済む」「出かけている間に濡れずに済みそう」など、記憶や経験から生み出された無意識が存在しています。
しかし「明日は晴れるんだ、良かった」と何気なく思った瞬間には、こうした意識は影に隠れていて表に出てきません。これを潜在意識と言い、表に出ている意識=顕在意識の元になっている事から、ピラミッドでは土台にあたる意識とされています。
分かりやすい例を挙げると、生まれたばかりの赤ちゃんはお腹が空いたり眠くなったりした時、本能のままに泣き叫んで自分の欲求を満たそうとします。
これは経験や記憶によって培われていく顕在意識がほとんど存在しないためで、成長と共に自分以外の存在を意識するようになると、「お腹が空いたらお母さんに言えば食べ物をもらえる」という潜在意識のもと、母親に言葉で空腹を訴えたり、食べ物を指さして自分の気持ちを伝えようとしたりするようになります。
普段私たちは表面に出ている顕在意識しか自覚する事はありませんが、顕在意識と潜在意識の関係性を考えると、後者の方が圧倒的な力を持っている事が分かります。
それもそのはずで、意識全体を10とすると、顕在意識はわずか1以下に留まるのに対し、潜在意識は9以上と高い割合を占めており、人の言動に多大な影響を与える証拠となっています。
顕在意識と潜在意識では脳との結びつきに違いがある
顕在意識と潜在意識の性質が異なるのは、それぞれ別の脳機能に結びついているためです。
まず、顕在意識は脳の外側にある大脳新皮質が司る情報処理機能と結びついています。大脳新皮質は前頭葉・頭頂葉・後頭葉・側頭葉の四部位に分かれており、お互いに連携する事で合理的で分析的な思考や言語機能を司っています。
大脳新皮質はほ乳類にしか存在しない事からも分かる通り、生物進化の歴史の中で最も新しい部位とされている事から、「新しい脳」と称される事もあります。
一方、潜在意識は脳の中心部に位置する大脳辺縁系と、後頭部にある小脳の一部の情報処理機能と結びついています。大脳辺縁系も帯状回、海馬、扁桃核、脳弓という四部位に分かれており、それぞれ連携して感情や快・不快に基づいて反射的な行動を行うよう命令する役割を担っています。
なお、大脳辺縁系はほ乳類だけでなく、は虫類や両生類、魚類などにも存在しており、生物進化の歴史の中ではかなり古い部位にあたります。そのため、大脳新皮質とは対照的に「古い脳」と呼ばれる事もあります。
そして運動感覚や体で覚える機能を司る小脳ですが、「小」というイメージとは裏腹に、大脳の数倍の神経細胞が存在していると言われています。その潜在機能は未知数で、科学的に解明されていない部分も多々存在しているそうです。
潜在意識の概念を生んだのは2人の精神科医
現在定着している顕在意識・潜在意識という概念は、ジークムント・フロイトとカール・グスタフ・ユングという2大精神科医の提唱に基づいています。
フロイトは、人間には無意識の過程があり、それが人の行動を左右しているという考えのもとに生まれた精神分析学の創始者であり、人間の意識はピラミッドの下から順に「エス(イド)」「超自我」「自我」の3層で構成されていると考えました。
エス(イド)とは本能的欲求の事で、今で言う潜在意識に該当します。
その上にある超自我は、ルールや道徳観、倫理観、良心といった理性をエスや自我に伝える役割を担っていて、時にはエスに、時には自我に現れます。
自我に現れている時は自分の意識として認識可能ですが、ほとんどの場合で改めて意識される事はないため、どちらかと言うとエス寄りの意識として認識されています。
最後の自我ですが、これは顕在意識に当たるもので、理性と本能をコントロールしようとする意識を指します。
一方、スイスで精神科医・心理療法家として活躍していたユングは、個人単位の潜在意識・顕在意識の下に、さらに社会や人類に共通している「集合的無意識」が存在している事を提唱。
ピラミッドで言うと下から「集合的無意識」「個人の潜在意識」「個人の顕在意識」という構図になり、同じ三層構造でもフロイトとはまた違った観点から人の意識の概念を表しました。
現在広く伝わっている意識の概念はフロイトとユングがそれぞれ提唱した概念を融合させたもので、一言に潜在意識といっても、そこには社会や人類に共通して存在する意識から、個人としての道徳、良心といった意識まで、様々な意識が内包されている事が伺えます。
潜在意識と顕在意識が一致しないと失敗や不調の原因に!
潜在意識は顕在意識の元になる意識と説明しましたが、必ずしも2つの意識が一致するわけではありません。2つの意識が一致しないのはよくある事ですが、時として失敗や不調の元になってしまう場合もあります。
潜在意識と顕在意識にズレが生じるのは珍しい事ではない
ほぼ本能のみで生きている赤ちゃんが、成長と共に自我に芽生えていくように、人間は経験や記憶を元にして生きていく上で必要な理性や知性、判断力、論理的思考などを身につけていきます。そうして培った理性や判断力を駆使し、時には本能に従い、時には本能に抗いながら様々な行動を起こしていきます。
例えば「眠りたい」と思っていても、「今眠ったら仕事にならない」「授業中に寝たら先生に怒られる」といった顕在意識が本能をコントロールする事で、個人の生活や社会の秩序を平穏に保つ事が可能となります。
自分以外の第三者がいる社会的集団で生きる以上、顕在意識が優位に立って行動しなければならないパターンは非常に多く、特に仕事などでは潜在意識と顕在意識が一致するケースはまれです。
潜在意識と顕在意識のズレが原因で目標達成が難しくなるケースも
潜在意識に抗わなければならない場合、人は顕在意識で2つの意識のギャップを埋めようとしますが、人に対する影響力は潜在意識の方が何倍も強いため、うまくコントロールできないと顕在意識が飲み込まれてしまいます。
例えば、明日までに終わらせなければならない宿題があるとします。やらなければ先生に怒られたり、ペナルティを受けたりする可能性がある事を経験上分かっているので、顕在意識は「宿題をやる」ことを目標に掲げます。
しかし、影響力の大きな潜在意識に「宿題なんて面倒」「難しくて分からないからやりたくない」という考えが根付いていると、途端にネガティブな方向に引っ張られてしまい、ついサボってしまったり、集中して宿題する事が難しくなったりしてしまいます。
その結果、能率やモチベーションが上がらず、結局目標を達成できなくなる事は珍しくありません。
特に量より質が求められる目標の場合、やる気のなさやモチベーションの低さがダイレクトに影響するため、「何をやってもうまくいかない」状態になる可能性が高くなります。
そのため、掲げた目標に対して顕在意識と潜在意識にズレが生じている場合は、文字通り「意識改革」を行って2つの意識を一致させる必要があります。
目標達成のために知っておきたい潜在意識の特徴5つ
潜在意識と顕在意識を一致させる方法を知るためのヒントとして、潜在意識の特徴を5つの項目にまとめてみました。
潜在意識にはその人の価値観がすり込まれている
価値観とは、その人がどんな事に価値を見出すかの基準となる概念です。
生まれたばかりの赤ちゃんはまっさらな状態なので価値観はゼロですが、様々な経験・体験を通じて自分にとっての価値観を見出していきます。
その価値観は知らず知らずのうちに潜在意識にすり込まれており、何かを決断したり、行動したりする時の基準となります。
例えば、初めてチョコレートを食べた時、「甘くて美味しい」と感じるか、「甘すぎて苦手」と感じるかは人によって異なります。
前者の場合、次にチョコレートを出された時には喜んで手を出しますが、後者の人は「自分はチョコレートが苦手」という価値観が潜在意識にすり込まれているため、食べようとはしません。
こうした価値観は日常的に潜在意識にすり込まれていますが、その価値観によって行動が後押しされる事もあれば、制限されてしまう事もあります。
具体的な例を挙げると、過去に新しい事に挑戦し、失敗して大きな痛手を負ったとします。すると「失敗すると痛い目に遭う」という価値観がすり込まれ、次に新しい事に挑戦しようと思った時に「また失敗して痛い目に遭ったらどうしよう」という不安が湧き起こります。すると新しいチャレンジがなかなか出来なくなり、仕事でもプライベートでもあと一歩が踏み出しにくくなる事があるのです。
習慣化した行動は潜在意識にすり込まれている
毎日欠かさず行っている行動はやがて習慣化し、特に何も考えなくても勝手に体が動くようになります。例えば、朝起きたら歯磨きをする。仕事に出かける時に鍵をかけるなど。これは毎日反復している行動が潜在意識に習慣としてすり込まれているためで、習慣化した行動は無意識下で実行される事になります。
潜在意識は空想と現実の両方に反映される
顕在意識は現在自分が行っている行動や置かれている状況を自覚する意識なので、空想と現実がごちゃ混ぜになる事はありません。
一方、潜在意識はこれまで経験してきた事や記憶に基づいて構築されるため、必ずしも現在の行動や状況に関係しません。
例えば自分が梅干しを食べるところを想像すると、口の中に唾が溢れてきます。
現実には梅干しを食べていないのに、想像しただけで唾が出てくるのは、過去に梅干しを食べた時の経験が潜在意識にすり込まれているためです。
このように、潜在意識は空想と現実の両方に反映されるという特殊な性質を持っています。
人は潜在意識の方により強いリアリティを感じる事がある
顕在意識は自分の「今」に基づいた意識なので、いわばリアリティの塊と言えます。
しかし、場合によっては、顕在意識よりも過去の経験・体験に基づいた潜在意識の方により強いリアリティを感じる時があります。
例えば、高所恐怖症の人が自宅の部屋で、高所で綱渡りしている人のテレビ映像を見たとします。すると現在の自分は安心・安全な部屋にいるにも関わらず、まるで自分が綱渡りしているかのような恐怖心を覚えます。
これは「高い所が怖い」という潜在意識が、「安全な所にいるから大丈夫」という顕在意識を上回っている証拠です。
人は「現在の自分」というこの上ない現実よりも、時として潜在意識にすり込まれた体験の方に「現実」を感じる事があるのです。
潜在意識は変化を受け入れにくい
顕在意識と潜在意識は時に「新しい脳」と「古い脳」と呼ばれると説明しました。
新しい脳は生物進化の歴史の中で最も新しい部位であるせいか、周辺の変化に対応しやすく、情報を論理的に分析して処理する機能に長けています。
一方、潜在意識は大脳新皮質を持たないは虫類や両生類、魚類などにも存在する古い脳であり、変化よりも「安全」や「安定」を優先します。
いつ天敵に襲われ、命を奪われるか分からないは虫類や両生類等にとっては、無難に今を生きる事が何より重要だからです。
そのため、潜在意識は大きな変化を受け入れにくく、新しい事にチャレンジしたいという顕在意識に対してストップをかける傾向にあります。
潜在意識の特徴を逆手に取れば人生に成功しやすくなる!
ここまで潜在意識の特徴を紹介してきましたが、顕在意識を振り回すやや厄介な存在と感じた方も多いかもしれません。確かに潜在意識は普段自覚できない上に、顕在意識に対して多大な影響を与える事から、扱いにくい存在とも言えます。
しかし、潜在意識の特徴を逆手に取れば、実現したい顕在意識の方に引き寄せる事が可能です。これを意識の書き換えと言います。
具体的な方法の紹介は別の機会に譲りますが、一例を挙げると、習慣化した行動が潜在意識にすり込まれるメカニズムを利用して「宿題を毎日やり遂げる」という目標を達成させる事ができます。
習慣化されていない行動は顕在意識の下にあるため、つい「面倒くさいな」「やりたくないな」という潜在意識に引きずられてしまいがちですが、毎日同じ時間に宿題をやるという習慣をつけて潜在意識にすり込ませれば、無意識のうちに宿題をこなすようになります。
このように潜在意識の特徴をうまく活用すれば、顕在意識の邪魔にならないばかりか、目標達成を後押ししてくれる強い味方になってくれるでしょう。
まとめ
潜在意識と顕在意識の関係は突き詰めていくほど奥深く、より専門的な分野となってしまいますが、日常生活で「仕事に成功したい」「プライベートでうまくやりたい」という目標を達成するだけなら、今回紹介した基礎的な知識だけで十分事足ります。
「精神分析なんて難しくて分からない…」と敬遠していた方も、これを機に潜在意識について一度考えてみてはいかがでしょうか。