みなさんこんにちは。今回はカバートアグレッションをテーマにお話したいと思います。
カバートアグレッションは、内面に隠れた攻撃性を持っている人の事を言います。但し、あからさまに人を攻撃し、マウンティングをする訳ではないので、周囲の人からは良い人に見えたりします。
また、攻撃をする相手に対しても、攻撃していると悟られないようにしますので、気付かないうちに攻撃されていたという事もあります。カバートアグレッションに効果的な対処法は無いと言われていますが、まずは意味や行動パターンを理解して、相手の正体を見抜くようにしましょう。
カバートアグレッションの意味は隠された攻撃性を持つ人の事
カバートアグレッションは、包み隠された(Covert)攻撃性(Aggression)を持っている人の事です。表面的には、攻撃しているように見えなくても、本人は、相手を責める心を持って攻撃しているのです。
良い人の振りをして攻撃するのが得意
カバートアグレッションの人は、「誰にとっても良い人」を演じる傾向にあります。
例えば、職場の同僚のAさんに腹を立てていて、BさんやCさんにAさんの悪口を言うのはごく普通の人です。カバートアグレッションの人は、BさんやCさんとAさんの話題になると、Aさんを攻撃していると見せずに評価を落とそうとするのです。
一般的には、自分以外の人を会話に巻き込んで不正確な情報や嘘を言い、ターゲットの地位や評判を傷付けようとします。職場等でカバートアグレッションが見られる事が多いですが、離婚後等でも自分の地位を確保する為に無意識に行われる場合があります。
イメージが湧き難いかもしれませんが、誰にも悟られずに「悪口を言いふらしている人」と言えるでしょう。一見悪口を言っているように見えませんので、誰かに嫌われる事は少ないです。しかし、カバートアグレッションの人は人を責める気持ちに支配されているので、出来る限り関わらないようにした方が良いのは間違いありません。
背景には自己否定の考えや劣等感がある
カバートアグレッションの人は、他人よりも優位に成りたいという動機で相手を攻撃しています。物事や人間関係を優劣で判断していますので、劣等感や差別の心に苦しんでいるのが根本的な原因です。「自分はダメなんだ」という思い込みがあり、無意識のうちに他人を批判して評判を落とそうとしているのです。
また、他人を攻撃しないと自分がやられてしまう、という思い込みがあってカバートアグレッションになっている人もいます。勝つか負けるかの二極思考でしか考えられなくなっているので、「皆で仲良く!」等とは絶対に思えないタイプです。このタイプのカバートアグレッションは、学校教育や職場での競争を通して形成された人が多くいます。
他には、自分の両親のどちらかが威圧的であり幼少期に親に支配された記憶があり、それが原因となってカバートアグレッションになる場合もあります。このタイプのカバートアグレッションの人は、人間関係が支配する者とされる者とで構成されている、という思い込みが強くあります。
立場が上の人には好かれやすいので厄介
カバートアグレッションの人は、あからさまに誰かを非難したり傷付けたりしませんので、誰からも好かれています。更に、人の気持ちを思い通りに操れる才能があるので、立場が上の人からは一目置かれた存在である事が多くなります。
例えば職場にカバートアグレッションの人が居て社長や上司に好かれている場合、その人とトラブルを起こすと自分が不利になったり、社長や上司から低い評価を受けてしまったりする事があるので厄介です。
仮にカバートアグレッションの人に「止めて欲しい」と言ったとしても、その言動が当たり前になっているので簡単に変えられるものではありません。逆に都合の悪い人だと思われ、より酷い攻撃を受ける事になるでしょう。
出来る事ならカバートアグレッションの人とは、表面的な付き合いにとどめた方が賢明です。奥さんや旦那さんがカバートアグレッションの場合は、時間を掛けてこの問題について話し合うのが良いと思います。
カバートアグレッションの人が取る7つの行動パターン
カバートアグレッションの人には、幾つかの行動パターンがあります。実際に見抜くのは難しいですが、職場で苦手だと思っている人、奥さんや旦那さんが特徴に当て嵌まっていないか確認してみて下さい。
他人の過去の失敗や恥を暴露する
カバートアグレッションの人は、他人が絶対に触れて欲しくないと考えている、過去の失敗や恥ずかしい出来事を周囲の人にばらしてしまいます。
一見すると分かり易い嫌がらせのように思いますが、カバートアグレッションの人は「えっ!これ言ったらまずかった?」「ごめん!気にしているなんて思ってなかった」と言ってとぼけたり、無知なふりをして話してしまうのです。
また、直接他人が触れて欲しくない話題をするのではなく、その話題になるように会話をコントロールしてしまう人もいます。恥をかかされた人は、偶然自分が触れられたくない話題になったと思うかもしれませんが、これを意図的にやっているのがカバートアグレッションの人です。
このような事をされないようにする方法は、なかなか見つからないと思います。自分で自分の事を許せない過去がある場合は、徹底的に自分を許すワークを行うのも1つの対処法だと思います。
都合の悪い話に対してははぐらかす
カバートアグレッションの人は、会話を操縦する能力が非常に高いので、自分にとって都合の悪い話は絶対にしません。
よくあるカバートアグレッションの人の特徴の1つが、都合が悪くなると話をはぐらかすという事です。何を聞いても的を射ない返答をしたり、関係のない話をしようとしてきます。「ちゃんと答えて」と言おうものなら「私は、この話をしようとしているの!」と開き直ったり、「逃げないで」というと「逃げているわけではない!」と居直られたりするでしょう。
都合の悪い状況になると、寝てるのかと思う程黙り込んでしまう人もいます。嵐が過ぎ去るのを待つウサギのように、話題が変わると急に元気になったりするのです。
注意しなければならないのは、カバートアグレッションの人を追い込み過ぎてしまう事です。「珍しく私が優勢だ!」と思って攻撃し続けると、被害者のポジションを取られたり逆ギレされたりするだけです。
この説明で分かる様に、カバートアグレッションの人とのトラブルは、会話で解決する事はありません。謝って貰おう等と考えず、放っておく方がまだマシだと思います。
自分が有利になるなら躊躇なく嘘を吐ける
カバートアグレッションの人は、自分が有利になると思えば、何の躊躇も無く平気で嘘を吐きます。
例えば、ある年配のカバートアグレッションの人は、結婚をする際「私は△△高校の出身です」と言っていましたが、実は中卒だったという事実が結婚から約5年後に判明しました。勿論、奥さんには嘘を吐いた事を咎められましたが、「煩い!」としか言わなかったそうです。
また、転職をする際に提出した履歴書の内容が、全て出鱈目だったというカバートアグレッションの人もいます。嘘を吐く事に慣れ過ぎているので、そもそも正直に書かないといけないという発想が無いのです。
カバートアグレッションの人に対しては、嘘を吐いた事を咎めても意味がありません。何を言ってものらりくらりと話をはぐらかされ、やっと追い詰めたと思ったら「そういうつもりで言ったんじゃない!」と受け流されるだけです。
人に嘘を吐かれるとイライラするかもしれませんが、カバートアグレッションの人については、正直に話せないのが特徴だと思うのが良いでしょう。
意図的に感情的な振舞いをしてくる
カバートアグレッションの人は、自分が有利になったり誰かを貶められるなら、意図的にキレたり大泣きしたりする事も厭いません。勿論、当人は演技で感情的な振る舞いをしていますので、至って冷静です。
譬えて言うなら、デパートのおもちゃ売り場の前で駄々を捏ねて大泣きしている子供が、冷静に親を観察しているようなものです。この事自体はそれ程咎められる事ではないかもしれませんが、周囲に居る人は、付き合わされて堪らないと考えるでしょう。
また、知り合いから借りたお金を返すように言われた際「今、死ぬ場所を探していたところだ」等と言って感情を揺さぶって来る事もあります。よく自分で死ぬ死ぬと言っている人は絶対に死なないから大丈夫と言われますが、それは計算をしてやっているからというのが理由です。
もし、カバートアグレッションの人が意図的に感情的な振る舞いをしている事に気付いたら、それ以上関わらずその場を離れた方が良いでしょう。但し、「どうぞ死んで下さい」等と言うと更に面倒な事になるので、相手を攻めようとするのはオススメしません。
自分が被害者になって嫌っている人を加害者にする
カバートアグレッションの人は、悲劇のヒロインになるのが大好きです。
例えば、誰かが仕事でミスをしてしまい、残業をしなければいけない状況になったとします。そのような時、その場ではカバートアグレッションの人は「私にも協力させて」等と言って応援してくれるでしょう。しかし翌日、「実は昨日、家に帰ったら子供が39度も熱を出していて~」等と言い、「でも、全然大丈夫だったから気にしないで!」等と言ってきます。
職場の同僚が仕事でミスをした事を利用して、「残業して手伝う破目になり、子供にも迷惑を掛けてしまった」という状況を作り出そうとしているのです。
ここでうっかり「残業を手伝ってなんて言ってない」等と自己防衛をしようものなら、ショックを受けたふりをしつつ「そうだよね。余計な事してごめんね」と言って更に攻撃をしてくるでしょう。
もし、職場でカバートアグレッションかどうか怪しい人がいる場合には、悲劇のヒロインになろうとしていないかという点を考えるようにすると良いと思います。
事実を自分の都合の良いように解釈する
カバートアグレッションの人は、現実を自分にとって最も都合良く解釈するのが得意です。例えば仕事で誰かがミスをしたら、「これは参ったなぁ。まあ、でも皆で協力して挽回しましょう」等と言って、仕事のミスが「重大だ!」という印象を周囲の人に与えようとします。
ところが、同じような仕事のミスを自分がした場合は「この状況なら仕方がない」と言って気にも止めません。自分の置かれる立場が悪くならないように、仕事のミスをテーマにした会話に持っていき、他人の過去に仕事で失敗した事実を引き出したりするでしょう。
このような状況で、カバートアグレッションの人と議論をしても意味がありません。文句を言ったところで、都合よく解釈したり嘘を吐くのは当たり前の日常なので、言い掛かりを付けられた程度にしか思わないからです。
急に態度を変えて敵になる事がある
カバートアグレッションの人は、自分にとって都合の悪い人、嫌いな人を分からないように攻撃してきます。その為、嫌われている人からすると、至って普通に付き合っている職場の同僚や友人に見えます。
ところが本来の目的は攻撃にありますので、「このタイミングなら叩き潰せる!」と思ったら、一気に敵に回ってあからさまな攻撃をしてくるのす。
何故このような事をするかというと、味方だと思わせておいた方がダメージが大きいからです。目に見える形で攻撃をするタイミングでは、既に攻撃をする仲間が用意されている場合もあります。いきなりカバートアグレッションの人が敵になり、味方だと思っていた仲間が1人もいなくなった、という状況に持ち込まれる事もあるのです。
職場でこのような状況に持ち込まれると、かなり大きなダメージを受ける筈です。そうならない為もカバートアグレッションの人を見抜く目を養い、出来る限り関わらないようにする事が大切だと思います。
カバートアグレッションの人への3つの対処法
カバートアグレッションは、これをやれば完璧、という対処法は無いと言われています。その為、自分の感情を整えて、カバートアグレッションの問題について周囲の人と共有する事が大切です。
カバートアグレッションの存在に敏感になる
カバートアグレッションは、攻撃されている本人も気が付かない事が多いので、知らないうちに評価を下げられていた、という事があります。その為、まずはカバートアグレッションを理解して、自分の周りに存在しないかどうかを確認する事が大切です。
もし、あなたの周りにカバートアグレッションのタイプの人がいたら、よく観察をして何時どんな方法で攻撃をしているのかを確認しましょう。その上で対処出来る方法が無いかを考えて、状況を変える為に出来そうな事をするのが良いでしょう。
相手を責める気持ちを持ってしまうと、自分が悪者にされる事もあります。「相手は心に問題を抱えているんだ」と考えるようにして、大人の対応を心掛ける様にしましょう。
感情的にならないゲームだと思う
カバートアグレッションの人の言動を見ていると、怒りの感情に囚われてしまう人も居ると思います。そういった時は、カバートアグレッションを感情的にならずに受け流すゲームだと考えると、気持ちが楽になります。
また、カバートアグレッションをする人は、自己否定の考えが強くセルフイメージの低い人です。今は攻撃を受ける立場にいるかもしれませんが、相手を褒める努力をして、攻撃してはいけない存在に自分がなるという方法もあります。この場合についても、感情的になると上手くいきませんので、落ち着いて対処していく事が重要だと思います。
身近にカバートアグレッションの人がいて困っている場合は、「そこが可愛い!」「頑張っているんだね」等と心の中で唱えて受け流すと良いでしょう。
カバートアグレッションに関する情報を皆で共有する
職場でカバートアグレッションをする人がいる場合は、職場の全員がカバートアグレッションに詳しくなれば、かなりの問題が解決されます。
誰かがあなたの評価を落とそうとして、話をしているのを聞いた人が「それ、カバートアグレッションじゃない?」と気が付けば良いのです。皆で職場の環境を良くする為、「心の問題について私達も学びましょう!」というところから入り、マウンティングやカバートアグレッション等の知識も職場全体で共有するのです。
職場によって情報を共有する事が難しい場合もありますが、出来そうな場合は、カバートアグレッションをテーマにした会話をする所から始めると良いと思います。
まとめ
カバートアグレッションをする人への対処は大変ですが、相手はネガティブな考えに囚われている未熟な人です。「私の評価を落とすような事をして!」と感情的になりそうになったら、「許します」と繰り返し何度か唱えると落ち着けます。
攻撃を受けた方が感情的になると、「何で私が怒られないといけないの?」という雰囲気になってしまいます。あくまでも大人の対応を心掛けて、相手を傷付けない方法で対処するようにしましょう。