みなさんこんにちは。今回は出会い系をテーマにお話したいと思います。
出会い系サイトやアプリは詐欺が多いと言われていますが、特に多いのが女性会員になりすましたサクラを使って男性会員に課金をさせる行為です。
過去に出会い系業界で働いていたサクラ経験者4人をインタビューし、その体験談を通してサクラの手口等を詳しくご紹介しましょう。
Contents
「出会い系のサクラは男性が多い」D.Iさん(30代後半・男性)の体験談
D.Iさんは10年位前に出会い系サイトのアルバイトをされていたそうです。
出会い系のサクラになった経緯は?
D.I:大学生の頃、親からの仕送りだけでは学費や生活費を賄えなくて時給の良いバイトを探していた時、友人から紹介されたのがこのバイトでした。PCでメールを打つのが苦にならなければ、特別なスキルも必要ない楽な仕事だと聞かされて、大学のレポート等でPCを使う事が多かった私にはピッタリだと思いました。
面接に行くと、実際にPCの前で紙に書かれた文章を入力させられ、合格しました。そこで始めて具体的な仕事内容を聞かされました。これって犯罪になるんじゃないかと思ったものの、今までやっていた飲食店のまかない付きのバイトの時給(1,200円)よりも高い時給(1,700円)で好きな時間に好きなだけ出来るのはすごく魅力的だったので働く事を決めました。
とりあえず大学を出るまで。就職先が決まるまで、と思って。
どんな手口を行っていましたか?
D.I:私が働いていた出会い系サイトは、男性会員が女性会員とメールをやり取りするのにポイント制の課金システムを導入していました。(女性会員のメール送受信は無料)ですから、私たちサクラはどれだけ男性会員をその気にさせてメールを沢山送信させる事を求められました。
すぐに会いたがる相手をのらりくらりとかわしながらも、適当なところで会う約束をします。じゃないとサクラじゃないか、って疑われてしまいますからね。でも結局、仕事の都合が〜とか言ってドタキャンします。それで怒る会員もいましたが、今度こそ絶対に会えるようにするとか言うと、そのままメールのやり取りを続けてくれる人も多かったです。
あと、たまに自分の下半身とかの写真を送りつけて、こちらの写真も送るように言ってくる人もいました。そういう時用に運営側では女性のちょっとエッチな画像を何枚も用意しているので、それを使って対応するように言われていました。
出会い系のサクラって男性でも出来るのですか?
D.I:男性でも出来ると言うよりも、男性の方が多かったです。私のいた所では8割が男性でした。年齢もバラバラでしたが、女性はほんの少数。入ってきてもすぐに辞めてしまう人が多かったみたいです。
でも、男が喜ぶメールを書くのは男心が良く分かるから男の方が向いているのかもしれません。
それに、女性だと精神的に参ってしまう人も多くて、つい仕事の愚痴を男性会員に言ったり、実際に会ってしまってトラブルになりかけた事もあったそうなので、運営側も避けていたようです。
出会い系のサクラを経験されてどう思われましたか?
D.I:当時はとにかくお金が必要だったので、サクラのバイトはすごく助かったのは事実です。しかし、女性になりすまして男性会員を騙して課金させるのは詐欺、つまり違法ですよね。
バイトだから捕まらないと当時は思っていましたが、私が辞めてから1年も経たないうちに警察に摘発されて、運営者だけではなくサクラをやっていたバイトの人数名も逮捕されたと知りました。
いくら時給が良くても、逮捕されたら前科者になってしまいます。そのリスクを考えたら、とてもじゃないですが人にオススメ出来るバイトではないですね。
「複数のキャラを担当」Y.Kさん(20代前半・男性)の体験談
Y.Kさんは高校卒業後フリーターをされていて、時給の良いバイトにはすぐ飛びついていたそうです。
出会い系サクラのバイトを始めたきっかけは?
Y.K:とにかく時給の良いバイトを探していました。そんな時、求人誌で「PCデータ入力」という服装・髪型自由でシフトも24時間体制で好きな時間に入れるというバイトを見つけました。時給も1,800円だったので、すぐに申し込みました。
面接に行くと、髪の毛が金色に染めた「いかにも」な男性がいました。その時点で「なんだかヤバそう」と思いましたが、本当にやばかったら逃げ出せばいいと思ってそのまま面接を受けました。
いくつか質問に答えてすぐに合格をもらいました。さっそく仕事を始めるのかと思ったら、数日間は研修を受けるように言われました。
サクラの研修はどんな感じでしたか?
Y.K:そこの出会い系では会員とのメールのやり取りにはPCを使っていました。一括送信出来るシステムがあって、その操作法を覚えるように言われました。操作法は先輩サクラさんに細かく教えてもらいました。
一括送信したメールに返信してきた相手に返信する作業が主な業務なのですが、返信があまりに多い時は、内容を読まずに全員同じメールを返信する事になっていたり、複数のサクラキャラを割り当てられていて、そのキャラになりきったメールの文面を考える練習とかしました。
それぞれのサクラキャラにはプロフィールから写真も決まっていて、すごく美人よりもちょっとカワイイとかちょっと美人の方がリアルっぽいと教わりました。画像はモデルの人のインスタとかから頂戴してくるみたいなんですが、バレにくいように海外(台湾や韓国)の人の写真が多かったです。
プロフィール画像をよく見ると背景にちょっとだけ中国語やハングルがあったり…気付く人には気付かれちゃうかもしれませんが、ほとんどの会員はそんな事より女性の顔やスタイルに目がいっちゃいます。
そこにちょっと男性の下心をくすぐるようなメッセージが付いていたら…ころっと騙されちゃうんでしょうね。
会ってあれやこれや出来るのではと期待を煽って返信したくさせるように色々なテクニックを教わりました。
メール内の男性会員の名前(ニックネーム)や地域名等は相手のプロフィール設定に合わせて内容が自動変換されるシステムになっていたので、同じ内容のメールを一括送信しても、あまり違和感がないようになっていました。
あとは連絡先の交換を渋るとサクラだと疑われるので、男性会員との連絡用の携帯端末が用意されているとか、色々な状況に対応出来るようになっていました。
どうしてサクラのバイトを辞めたのですか?
Y.K:出会い系サクラの仕事内容は辛くありませんでした。ただ、長時間PCの前に座って送信し続けるのが退屈でした。こういうサクラのバイトは10〜12時間勤務が当たり前で、いくら音楽を聞いたり、飲食しながらでも良いという自由な環境でしたが、自分には合わないと思って半年で辞めました。
1番嫌だったのは、遅刻や欠勤した場合の罰金です。本当はそういうのって違法らしいんですが、元々違法なバイトですし、当然のようにありました。
あと、法律で決められている休憩時間もありません。会員からメールが来たら、食事中でも何でもすぐに返信する必要がありました。ちょっと席を離れるのも難しいのってかなり苦痛でした。
「たった5日間でも罪悪感は消えない」C.Tさん(20代前半・女性)の体験談
C.Tさんは出会い系のサクラとは知らないまま、仕事を始めてしまい、相手を騙す事に絶えられず5日間で辞められたそうですが、約1年経った今でも罪悪感が消えないそうです。
出会い系サクラのバイトを始めたきっかけは?
C.T:大学生になって、生まれて初めてのバイトを探していた時の事です。求人誌で見つけたのは「アプリ運営のサポート業務」で、ゲームアプリか何かの運営サポートだと思ったので応募しました。
面接ではマッチングアプリでトラブルのあったユーザーの対応だと仕事内容の説明を受けました。いわゆるクレーム対応だと思ったので、未経験の私に務まるか不安でしたが、マニュアルもあるので心配いらないと言われました。
そして初出勤日。雑居ビルの一室にPCが数十台あって、その中の1台を使うように言われました。直ぐ側にはスマホが1つ置いてあって、私と同年代の女性のユーザー登録がされているSNSアカウント画面が表示されていました。
隣に座った先輩の指示通りにスマホを操作していきました。画面にはエッチな写真を投稿した後らしく、沢山の「いいね!」が付いていました。その人達にDMで連絡を取り、ある程度やり取りしたらとある出会い系に誘導するように言われました。
その時初めて出会い系サクラの仕事だったと気付きました。初めてのバイトがサクラだったなんて、ショックでしたがその場で辞めるとは言い出せませんでした。その日は数時間でバイトは終わりましたが、明後日にはシフトを入れていました。
いくら社会経験が乏しくても出会い系サクラが違法なバイトなのは知っていましたが、あんなふうにカモフラージュして募集している事までは知りませんでした。知っていたら応募しなかったです。
SNSからどのように誘導したのですか?
C.T:連日のようにエッチな写真を投稿して、それに反応してくれる人にDMを送っては気をひくような言葉を言ってひきつけた後に「もっとすごい写真投稿しているから」とか「今後の連絡はこっちでしよう」と言って決められている出会い系に誘導して会員登録を促します。
登録時に数千円分のポイントの購入が必須で、メールをやり取りしたり、投稿画像を閲覧するたびにポイントが消費されていくシステムでした。ポイントが無くなりかけたタイミングで、近い内に会いたい、というように相手をもっと引きつけて追加ポイントを購入させるように仕向けるようにマニュアルにありました。
とにかくマニュアルにある通り機械的にどんどん相手にメッセージを送りました。同時に複数の男性とやり取りしていたので、5日間で100人近くになりました。相手は60代以上の男性…私にとっては親と同世代の人が多かったのもなんだか気持ち悪かったです。
5日間で辞める事にしたのはなぜ?
C.T:誘導した出会い系では課金を続けないとやり取り出来ないシステムでした。退会するのにも数万円払う必要があったようです。中には1,000万円以上をつぎ込んでいる会員もいると聞きました。
詐欺、違法なものに関わっている自分が許せなくなり、5日目の業務が終わり次第「辞めたい」と上司に伝えました。
急に辞めるのは罰金対象だとか減給とか言われましたが、今までのお給料もらわなくていいので、今すぐ辞めさせて欲しいと言ったら、すんなり辞められました。
違法な事して稼いだお金を受け取る気にはなれませんでした。今では普通のバイトをしていますが、今でも罪悪感が消えず、後悔しています。
「在宅でも出来る高時給バイト」にも要注意!S.Jさん(30代後半・男性)の体験談
S.Jさんは出会い系のサクラの中では社外から会員を誘導する「メールレディ」のバイトをされていたそうです。
「メールレディ」はどのような仕事ですか?
S.J:メール交換で男性を楽しませてあげる事が目的で、メールやメッセージをやり取りする事でお金をもらうのは、キャバクラと同様なので違法性はないという考え方もあるようですが、完全歩合制で社外から男性会員のポイントを消費させる役割を持っていると考えれば違法な仕事と言えます。
「サクラ」と違って違法ではないという見方も出来るようで「メールレディ」として求人されていました。社外のバイトで面接も対面ではなく、身分証明書とバイト代の振込先銀行口座を提出すれば登録完了です。
本当は女性向けの仕事なので、自分は母親の身分証明書と使っていない銀行口座を使って登録しました。
出会い系では、男性会員がポイントを消費してどんどん課金するようにメールやメッセージを絶えず送り続けて引きつけなくてはなりません。社内ではサクラが、そして社外からはメールレディが一般の女性会員を装って男性にアプローチする仕組みになっていました。
時給ではなく完全歩合制だったので、隙間時間にスマホからメッセージを送るだけで収入に繋がるので楽でした。サクラだと1時間に80通とかノルマがあるようでしたが、メールレディはその点も気楽でした。
女性のフリは難しくなかったですか?
S.J:マンガとかでもあると思いますが、男性が喜ぶものって女性にとっては理解しがたい所もあると思うんです。男心を一番良く分かっているのって結局は男なんじゃないかと。
だから、男性向けのマンガとかに出てくる女性の言葉遣いとか行動パターンとか研究して「男にとって魅力的な女性」になりきるように心がけていました。
普通だったらそんな女いるわけないだろう、と思うような設定が受けたりするんです。そういうのは面白かったですね。歩合制なので収入は一定ではありませんでしたが、多い時はサラリーマンの平均月収なんて軽く超えるくらいは稼いでいました。
罪悪感とかはありませんでしたか?
S.J:メールレディはサクラと同じような業務内容ですが、違法ではないという味方も出来るので、罪悪感はあまり感じませんでした。サクラとは違って会う事はせずに、ただひたすら「エサ」になる画像で釣れた男を出会い系に誘導して、その後もメールだけのやり取りに徹するだけ。会えないからと言って離れていく会員もいましたが、そういう相手はサクラの方で対応していたのではないかと思います。
こちらの方は去る物追わずで、また新たな相手を引っ張ってくるだけです。辞めたい時に自由に辞めやすいのもサクラより良い点じゃないかと思います。
まとめ
出会い系ではサクラが多く、ごく一部のまともなサイトを除いて全体の90%は詐欺だと言われています。サクラは違法なので求人には「PCオペレーター」や「PCデータ入力」「メール業務」等で募集しています。
特別なスキルは不要で、誰にでも出来る、座ってるだけの仕事なのに高時給という誰もが飛びつきそうな待遇ですが、実は違法なバイトだったと後で気付いて後悔したというサクラ経験者も沢山います。サクラのバイトでも摘発時には逮捕されるケースも多いので、気軽に始めるべきではないでしょう。
出会い系を利用する場合はサクラだと気付かずにあっという間に数百万円課金していた、なんて事にならないようにして下さいね。
今回ご紹介した体験談にもあった手口以外にも、美人局(つつもたせ)のように18歳未満の少女を使って、会った時に淫行だと因縁をつけて金銭を奪うような犯罪も起こっています。
出会い系はほとんどが詐欺や違法だらけですから、利用は避けるか、利用しても十分に注意して下さいね。