みなさんこんにちは。今回は起業成功率が6%である事がデマである理由をテーマにお話したいと思います。
起業をして成功するのが6%しかないという話しがありますが、鵜呑みにしてはいけません。新しい事にチャレンジしようとする意欲がなくなってしまいますし、起業をしても上手くいかない可能性が高くなってしまうからです。
そもそも成功出来るのが6%というのは、根拠がない数値ですし、誰が公表した情報なのかという、責任の所在も明らかではありません。起業成功率が6%というのが嘘である根拠を詳しく解説したいと思います。
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起業成功率が6%である根拠が乏しいから
起業成功率が6%であるという情報に根拠はありません。根拠がない以上、正確かどうかの判断が出来ない事になります。どこから起業成功率が6%という数値が出たのかは不明ですが、面白半分に誰かが言ったのか、何か意図があって情報を流したのではないかと考えられます。
起業成功率6%となる統計データは存在しない
「2005年度の国税庁調べ」ともっともらしい情報源と共に言われる事もありますが、そのようなデータは存在しません。また、古くから言い伝えられている経験則のようなものでもありません。
つまり、起業成功率が6%であるという情報は、誰かが言いだしたのを切っ掛けに言葉だけが独り歩きしているという事です。このような情報を鵜呑みにしてしまい、夢や希望を諦めてしまうのは勿体ないと思います。根拠の無い情報を信じるのではなく、自分にある無限の可能性を信じるようにしましょう。
起業をして失敗した人の割合が体感的に多過ぎる
起業をして5年後に生存出来るのは2割しかないという情報もあります。法務省の登記統計によると、平成30年に設立された会社は約8万7,000社あります。5年後には約7万社が廃業している事になりますが、年間1万4千社も廃業しているとは考えられません。
個人事業主まで含めると、毎年1万4千人以上の人が廃業を経験している計算になりますが、「そんな人、聞いた事がない」という人が殆どだと思います。
経営を軌道に乗せるのが難しいと言われている飲食店も、オープンして5年以内に廃業しているというのは多すぎる気がします。むしろ、3年~5年もすれば、経営が安定してくる時期に入ると考える方が自然でしょう。
体感的に10年後の生存率は50~70%だと主張する税理士も存在する
起業の成功率を感覚的に把握出来ると考えられるのは、税理士ではないでしょうか。税理士のブログ等を検索すると、起業成功率が6%というのはおかしいという意見が多く見られます。税理士によっては、10年後の生存率が50~70%だと推測しているケースもあります。
もっとも、個人事業主として起業した人は、税理士に依頼せずに経営しているケースも多いと思います。そういった点も含めて考えると、10年後に生存している起業家は、半分を下回る程度ではないでしょうか。
2017年版中小企業白書によると企業の廃業率は6.6%だから
2017年版の中小企業白書では、中小企業の廃業率は6.6%であるとしています。この数字が事実なら、全体の下位6.6%に入らなければ、起業して存続し続けられる事になります。もちろん、この数値も冷静に捉える必要がありますが、根拠に基づいたデータである事は確かではないでしょうか。
廃業率6.6%だと30年後に13%の企業が生き残る
中小企業白書の廃業率6.6%が真実なら、5年後の生存率は71.1%、10年後は50.5%、30年経っても12.9%の企業が残る計算になります。ここで生存率は「100×(1-0.066)^年数」で計算しますが、30年後に87%の企業が消滅すると単純に考えないで下さい。
廃業率6.6%には、時代に合わなくなって辞めた企業や合併により消滅した企業、国外の企業の撤退なども含まれています。創業年数が何年だろうと下位6.6%に入らなければ、存続し続けられます。創業年数が長くなる程、経営も安定してくると考えられるので、辛口の評価となっている点に気を付けて下さい。
中小企業白書2011年版では創業1年目の生存率は97%もある
2011年の中小企業白書では、創業1年目の生存率は97%であるとしています。これは、100人の起業家がいたら、3人位は1年以内に廃業するかもしれないけど、殆どは1年以上生存出来るという意味です。
1年以上経過してからの廃業は、資金繰りが出来なくなった事が主な原因だと考えられます。逆に考えれば、最初の1年を頑張って、売上が上がるように出来れば、その後も生存し続けられる可能性が高いという事です。
どうしても廃業が心配なら、2~3年分の運転資金を用意してから企業したり、副業から始める方法もあります。仮に廃業となってもダメージを受けない出口を考えておけば、起業の成功率等考える必要もありません。
廃業率は都道府県による違いもあります
中小企業庁の2015年の調査によると、廃業率が高い都道府県は滋賀県(4.9%)、京都府(4.6%)、福岡県(4.4%)です。逆に廃業率が低いのは、徳島県(2.9%)と和歌山(3.1%)県、福島県(3.1%)となっています。
この数値を見て気付くと思いますが、中小企業白書の6.6%の廃業率よりも、更に廃業率が低く評価されています。このデータからも分かりますが、起業成功率が6%というのは、あまりにも現実離れしています。
年間で全体の4%から6%が廃業している程度です。もちろん、高齢による引退といった理由による廃業も含めての数字です。
失敗だと捉えるかどうかは主観的な評価によるものだから
起業をして失敗したかどうかは、他人が決める事ではありません。本人が企業にチャレンジして良い経験が出来たと思えれば、すべて成功です。
甲子園に出場したりプロ野球選手にならなかったとしても、野球部員の高校生は良い思い出を残せるように、起業して10年後に辞める事になってもチャレンジした分だけ人生の質が上がっています。
成功か失敗かは起業家の考え方によって決まる事
起業をして成功したか失敗したかは、本人の考え方によって決まります。事業継続を断念したとしても、チャレンジした事は必ず良い思い出になります。逆に、いくら事業継続が出来たとしても、否定的な考えで体調を崩してしまえば、良い経験になったとは言えません。
起業で失敗をしない為には、他人の評価に振り回されない事が大切です。本人が望む未来を手に入れる為に挑戦し続けると思っていれば、他人の評価がどうであっても気にならなくなるからです。心のあり方の問題を存続の割合に置き換えているので、成功率が6%という情報に意味はありません。
企業経営は改良の繰り返しの中に成功があるもの
起業して成功するか失敗するかという極論で考える人がいますが、経営は、そういうものではありません。縄跳びや逆上がりの練習のように、やってみて上手くいかなかったら改良して、の繰り返しをしていく事になります。
この際、完璧主義者で1回の挑戦で上手くいくと思っていた人は、2回目、3回目の挑戦が出来なくなってしまいます。継続して努力するのを断念してしまったり、自信を無くしてしまう人もいます。
この事からも分かるように、成功かどうかは、起業した人の考え方で決まります。起業をして上手くいかなかった時は、「これでは上手くいかない事が分かって成長出来た」と考えるようにしましょう。
起業に失敗はあり得ないから大丈夫
起業をして失敗をするのが怖いと考える人がいますが、他者からの評価を気にする必要はありません。仮に起業してすぐにダメになったとしても、経験をした分だけ成長しているはずです。
山登りに譬えると分かりやすいと思います。富士山登頂を目指してみたものの、体調や天候等が影響して途中で引き返す事もあります。富士山に登ろうともしない人が何か言うかもしれませんが、気にする必要なんてありません。
起業をして夢や願望を実現させようとチャレンジする事も同じです。チャレンジした事がない人が何を言ったとしても、勇気を出してやってみた人は成長しているのです。
統計は解釈の仕方によって評価が大きく異なるものだから
「~という統計データがある」という言葉を聞くと、それが真実だと思い込んでしまうのが人間です。
しかし、統計データがあったとしても、事実ではない事もありますし、むしろ、事実とは異なる事の方が多い位です。統計は、解釈の仕方で好きなように捉えられるので、過大評価をしないように気を付けましょう。
統計はでたらめである事が非常に多い
「統計でウソをつく法」という本が一昔前に流行りました。この本のタイトルにある通り、世の中には、何らかの目的の為に統計を利用するという事が多くあります。
例えば、Aさん~Eさんの5人からなる国があったとして、Aさん~Dさんの年収が500万円、Eさんが1億円の年収だとすると、平均年収は2,400万円です。Aさん~Dさんに「あなた達は、平均以下だからダメな人」と主張する人がいたとしても、「平均」というデータに意味がありません。
起業成功率の「6%」が根拠ある数字だったとしても、どういった評価をしているかが分からなければ、意味がないという事です。「6%」に根拠がないので、そもそも気にする必要すらありません。
統計は真実の一側面を表しているに過ぎない
きちんとした手法で統計を行えば、真実を表す事は可能です。しかし、真実を表しているデータだからといって、それが全てではありません。
例えば、「オムライス作りにチャレンジしても、成功するのは1%しかない」と言われると、非常に難しいチャレンジに聞こえます。しかし、多くの人は、何度も失敗にめげずにチャレンジして、綺麗にオムライスが巻けるようになっています。
仮に起業成功率が6%というのが真実だったとしても、2~3度挑戦して成功しているのが50%という事もあります。6%というデータに振り回されるのではなく、本質を見抜く目を養う事が大切だと思います。
「起業して成功するのは6%」という表現に主観的な意思が感じられる
「起業しても成功するのは6%」という表現には、「起業してはいけない」という意思があります。「16人に1人は成功している」という表現とは、明らかに印象が異なる事が分かります。
同様に「賛成4人、反対3人、どちらでもない3人」というアンケートがあり、「賛成しない人が60%」というのと、「反対が30%」では受ける印象が違います。賛成派を増やしたい時は「反対しなかった人が70%」とすれば良いだけです。
このように統計データの表現の仕方でも、人が受ける印象が異なります。嘘には、「嘘、真っ赤な嘘、統計」の3種類があると言われますので、騙されないように気を付けましょう。
企業の進出や撤退は頻繁に行われるものだから
起業成功率や廃業率等の統計データでは、単純な企業の撤退と債務整理が必要な倒産の区別はしていません。毎年4%~6%の企業が廃業しているからといって、その全てが失敗ではないという事です。このような点も考慮すると、起業をして失敗する確率は、更に低くなると考えられます。
時代が変化しているので企業が生まれ変わるのは当然の事
時代が変化している以上、企業も変化し続けなければ生き残れません。例えば、一昔前に多く存在したお米屋さんや駄菓子屋さん等は、非常に少なくなっています。更に、昔あったと言われる下駄屋さん等は、見た事がない人がほとんどです。
これらの企業は、業態を変えて生き残るか撤退せざるを得なくなるかのどちらかです。相続を機会に廃業というケースもありますが、起業に失敗したわけではないでしょう。
統計データには、失敗ではない廃業も廃業率に含まれています。このような点も考慮して、データを評価する事が大切です。
より適切な立地を求めて撤退と進出を繰り返す企業も存在する
大手チェーンの飲食店やコンビニ等は、より立地条件の良い場所で営業をする為に撤退と進出を繰り返す場合があります。また、複数の企業がリスクの高い事業をする際に合弁会社を作る事もあります。
つまり、事業継続が困難となって廃業となった場合でも、特定の目的を達成して成功したと言えるケースがあるという事です。地域の環境が変わって大手飲食店が撤退する場合は、失敗でも何でもありません。企業の戦略には、逃げる選択があるだけです。
一度、起業をしたら撤退したらいけないという決まりはありません。このような決断による廃業も統計データの廃業率に含まれているので、失敗による廃業は、思っている以上に少ないはずです。
全業種をまとめて評価する事に意味が無いから
起業した人の成功する確率を知りたいという気持ちは分かりますが、全業種をまとめて評価しているデータを参考にしても意味がありません。廃業率が高いと言われる飲食業界もあれば、昔から潰れにくいと言われる不動産業や造園業、スナック経営等もあるからです。
全業種をまとめた統計データは参考程度にしかならない
仮に起業成功率が6%というのが事実だったとしても、全業種をまとめた数値なので、参考程度にしかなりません。例えば、アフィリエイトで起業をしたいと考えているなら、本気で取り組んだ人の何割位の人が稼げるようになるのかが知りたいはずです。
しかし、業種ごとの起業成功率に関するデータはありません。起業しようとしている業種で成功している人の意見を参考にする方が、よっぽど当てになります。起業のような人生を大きく変える行動は、やってみないと結果は分からないのが現実ではないでしょうか。
起業する人が求めているのは事業を軌道に乗せられる可能性について
起業する人が求めている情報は、全業種をまとめた評価ではなく、自分が事業を軌道に乗せられるかどうかにあります。軌道に乗ってから10年後に倒産する確率なんて、考えてもいないと思います。
「起業して成功するのは6%」という情報は、起業後10年~30年後に企業が存続している割合の事です。6%という数値も誤りですが、そもそも、10年~30年後の情報なんて誰も気にしていない事に気が付きましょう。
中小企業白書の創業1年目の生存率が97%というのが事実なら、事業を軌道に乗せる所までは、殆どの人が出来ます。あとは、自分の努力とセンスによるというのが事実だと思います。
まとめ
誤った情報を真実であるかのように思わされる事は、意外と多くあります。例えば、健康に悪影響があると思っている人が多いダイオキシンや遺伝子組み換え食品等です。
間違えた情報は、誰かが意図的に流している場合もあるので、私達は、情報の信憑性を見る目を養わないといけません。起業をして夢や願望を実現させようと考えているなら、尚更の事です。
起業をして失敗をする人がいるのは事実ですが、人生がどうにもならなくなるなんて事はありません。起業をして夢に向かって努力する事は素晴らしい事です。起業成功率のデマに振り回されてチャンスを逃さないように気を付けましょう。