karma

業(カルマ)

【業(カルマ)とは何か?】業の意味と輪廻転生との関係を優しく解説

みなさんこんにちは。今回は仏教の考えである業(カルマ)と輪廻転生との関係をテーマにお話したいと思います。

業(カルマ)という言葉を聞くと、なんとなくネガティブな言葉のイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実際にはそんな事はありません。

業は日本語の仏教で用いられる言い方で、カルマとはインドのサンスクリット語ですがどちらも意味は同じです。業やカルマは本来、シンプルに「行為」「行い」という意味で、日頃の行いがいずれ自分の現実となって返ってくるという因果応報の考え方に基づいています。

業と輪廻転生は切っても切れない関係

仏教では輪廻転生と言って、私達の命は死んでも何度も生まれ変わると考えられています。その際、肉体は死んで消滅しますが業は残り続け、次の人生に影響するとされています。

私が仏教に興味を持ちはじめた頃、自分のした行い(業)が自分に返ってくると聞き、なんだか怖い思いを抱きました。ですが、徐々に理解を深めるにつれて、実際は当たり前で単純な事にも例えられるとの事が分かりました。

例えば人の悪口ばかり言っていたら周りから「意地悪な人」と思われて人が離れて行ってしまいますよね。逆に優しくして人助けばかりしていたら、自分が困っている時お返しに助けてくれる人が現れるでしょう。

そのように、業は自分が生きているうちにした事がそのまま反映されるものでもあります。しかし生きているうちに自分に返ってくるものもあれば、目に見えない業力として魂と共に残り続け、来世、また来世へと持ち越される業もあります。

業は3つに分かれる

業は「行為」を意味します。これは、撒かれた種が発芽するように、私達の運命は行為によって決まるという事です。善行は善い運命を導き、悪行は悪い運命へと誘います。

この業は、

身業 身体で行った事
口業 口で喋った事
意業 心で思った事

という3つに分けられており、総称して「身口意の三業」と言います。

例えば、誰かに暴力をふるったら、それは当然自分に返ってきますが、仏教においては、実際に暴力をふるうだけでなく、心で「殴りたい」と思った段階で、因果が生まれ、自分へと降り掛かってくるのです。

業が自分に返ってくる時期は4つ

因果応報

自分が背負った業が、いつ自分に返ってくるかまで、仏教では伝えられています。

業が自分に返ってくる時期は以下の4つです。

順現業 現世に報いを受ける
順次業 生まれ変わった後に報いを受ける
順後業 何度か生まれ変わった後に報いを受ける
順不定業 いつ現れるか分からない

例えば、幻の鳥を中心に、それを取り巻く人間の姿を何千年にも亘って描いた手塚治虫の『火の鳥』には、鼻が異常に膨れ上がった男が各シリーズを通して登場します。この男は、「猿田博士」や「我王」といったように名前こそ変わって登場しますが、いずれも鼻が膨れ上がっています。

これは、彼らの祖先である「猿田彦」が犯した罪(業)を精算する為に、過酷な宿命を背負って生きていきます。

これは順後業と考えられ、過去に生まれた業の報いが何世代も後に現れているといえます。

死んだらどこに輪廻転生するかは業で決まる

私は幼い頃から仏教に興味があり、近くのお寺に言っては、住職に「人は死んだらどうなるか」を尋ねていました。その際、決まって住職は、お寺にある地獄絵図を見せてくれたのですが、その光景は幼い自分には衝撃的でした。

住職は、死ぬと閻魔大王が死後に行く世界を決めると教えてくれました。大人になって仏教を学んでいく上で分かったのは、この閻魔大王が死後に行く世界を決めるというのは、「引業」の例えだという事です。

仏教の概念では、死んだ後に行く世界は生前の業によって決まると教えられています。これを引業と呼びます。

実際には仏教では、業を背負った人は、死後、次の6つに世界に生まれ変わると言われています。

  • 天道
  • 人間道
  • 畜生道
  • 地獄道
  • 餓鬼道
  • 修羅道

これら6つを総称して「六道」と呼びます。

これらの世界のうちどこに生まれ変わるかは、現世で生んだ業によって異なります。

天道は苦しみもないうえに長寿の世界

六道の最上位である天道は、人よりも優れた「天人」が住む世界です。天人として輪廻転生した場合、空も飛べるうえ、苦しみもなく過ごせます。

ただ、天道は極楽ではありません。その為、天人として輪廻転生した場合、人よりも長く生きられるものの、寿命が尽きてしまえば、再び輪廻転生をして、六道のいずれかの世界に生まれ変わる事となります。

天人が死を迎える際は、衣服が垢で染みたり、身体が汚れ始めて臭いを放つ、脇の下から汗を流すといった兆候が現れるとされています。

人間道は四苦八苦に悩まされる

人間道

人間道は、私達が住む場所で、天道の下に位置します。仏教において、人間道は「四苦八苦」が降り注ぎ、苦しみの多い世界とされています。

四苦八苦とは、仏教における苦しみの種類で、以下のような苦しみが挙げられます。

【四苦】

生まれる事
老いて自由がなくなる事
様々な病気に苦しむ事
死ぬ事への恐怖と不安

【八苦】

愛別離苦 愛する人と別れる事
怨憎会苦 恨み憎んでいる人に会う事
求不得苦 求める物が手に入らない事
五蘊盛苦 五蘊(肉体と精神)が思いのままにならない事

このような苦しみから逃れる事こそ、解脱して仏になるという方法なのです。

争いが絶えない阿修羅道

人間道の下に位置するのが、阿修羅道です。この世界には、帝釈天と敵対した悪鬼神である阿修羅が住む場所として知られています。阿修羅は戦を好む存在であるため、阿修羅道では常に争いが絶えない場所と言われています。阿修羅道は、ねたみや恨み、自惚れの強く、これらに関する業を背負った人間が転生する場です。

動物・鳥・昆虫たちが暮らす畜生道

畜生道

畜生道とは、動物や鳥、昆虫たちが暮らす世界を指します。その為、自然界同様、弱肉強食の世界になっており、常に理不尽な死に怯えて暮らさなければなりません。

畜生道には、動物を殺さなかったとしても生まれ変わってしまいます。人の幸せを妬んだり、他人の不幸を喜ぶような心を持っていると、畜生道に転生してしまいます。また、動物のように享楽的な生き方をしている場合も畜生道に転生してしまいます。

さもしい心の持ち主が転生する餓鬼道

やせ細って骨と皮だけになっているうえに、お腹がぷっくりと膨らんだ餓鬼として生まれ変わった場合に堕ちるのが、餓鬼道です。

餓鬼道に生まれ落ちた場合は、餓鬼として常に喉の乾きや、空腹感を抱きながらその一生を過ごします。餓鬼道にある食べ物は、口に運んだ瞬間消えてしまい、水も飲もうとすると火に変わってしまい、一生、枯渇したまま生きなければなりません。

餓鬼の一生は、人の1ヵ月を1日として500年、つまり約1万5,000年もひもじい毎日を送る事になります。

餓鬼道に生まれ堕ちる人は、お金集めに執着したり、自分ひとりだけ贅沢したりと、前世でさもしい心を持っていた人です。

餓鬼道に落ちない為には、欲を捨てて、他人の為にお布施をしたり困っている人を助けたりとする気持ちを持つ事が大切です。

地獄道は罪を償わせるだけの世界

六道において、最も下に位置するのが地獄道、いわゆる地獄です。地獄は、生前の罪を償わせる為だけの世界で、快楽は一切なく、苦しみだけがある世界です。

地獄道に堕ちた人間は、生前の罪(業)によって、8つある地獄のうちどこで罪を償うかが決まります。仮に複数の罪がある場合、1つの罪が消えた所で、別の地獄に生まれ変わり、再び耐え難い苦痛を味わうのです。

そして、罪を償ったとしても、二度と人間に生まれ変わる事はなく、餓鬼道や畜生道という、過酷な世界に転生する為、二度と解脱することが出来ません。

業は心の奥底に溜め込まれている

カルマ

業は私達のどこにあるかを仏教は教えています。業は「阿頼耶識(あらやしき)」と呼ばれる、心の奥底にある蔵に溜め込まれており、ここに溜め込まれた業は、何度肉体が生まれ滅んだとしても決して消える事がありません。

そして、仏教では、私達一人ひとりは、それぞれが阿頼耶識に蓄えられた業によって生み出された世界に生きていると教えています。

仏教における心の捉え方

仏教は、業が溜め込まれている阿頼耶識の他にも、7つの心を人は持っていると説いています。眼識から身識までを前五識と呼びます。

眼識 色や形を見分ける心
耳識 音を聞き分ける心
鼻識 匂いを嗅ぎ分ける心
舌識 味を判断する心
身識 痛みや心地よさを感じる心
意識 記憶や前五識に命令する心
末那識 執着する心

これら7つの階層の最も深い所にあるのが阿頼耶識です。

その為、通常私達が認知するのは、意識までです。そこから先の末那識、さらに阿頼耶識は、力強い力で、私達を無意識のうちに動かしているのです。これは西洋哲学においては、深層心理と言われている所と近しい意識と言えます。

業から逃れる唯一の方法は解脱する事

仏教について学んだ私は、業についても知り、どうやったら逃れられるかを調べました。仏教の教えでは、業から逃れる唯一の方法として解脱する事説いています。

解脱とは、お釈迦様つまりブッダが菩提樹の下で達成した行いであり、俗世の煩悩や迷いから解放され、真に自由な心を手に入れる事です。

この方法が唯一、業と輪廻転生から逃れる方法なのです。

『聖求経』という書において、ブッダは解脱の際に

    わが解脱は達成された。これが最後の生まれであり、もはや二度と生まれ変わる事はない

と述べたとされており、この事からも解脱する事で、輪廻転生から逃れられる事が分かります。

解脱が出来るのは人間道

出家

解脱が出来るのは人間道だけです。六道の中でも、人間道のみ仏教の教えを聞ける場です。その為、私を含め、現在を生きる全ての人に解脱の機会があると言えます。

解脱には大きく2つの方法があると仏教では教えられています。

ひとつは、地獄に堕ちる原因となる殺生を行わない、六道へと転生する原因である、欲や怒り、ねたみ、煩悩といった業を失くすように修行する事です。

修行とは出家し、苦行を積む必要があります。次に、煩悩より深い所にある、生きる事の迷いを取り除く方法です。煩悩ではない、生きるうえでの迷いを探るうえで大切には、「無明」を理解する事です。

無明は真理に気づいていない状態

ブッダが解脱した時、この世の中には、変える事が出来ない真理がある事に気付きました。この真理に気付いていない状態が「無明」の状況です。

この真理に気付いていない為に、私達は苦しい思いをしたり人生を悔やんだりするのです。

この世の真理として、

  • 諸行無常
  • 諸法無我

という2つ挙げられます。

諸行無常は『平家物語』の冒頭に用いられている事でも知られている、「この世の中の物は全て移り変わって行く」という事です。

一方、諸法無我とは「この世の中の物は全て実体がない」という事です。

この2つを理解していないからこそ、物や人への執着といった煩悩が生まれてしまうというのが仏教の教えです。裏を返せばこの2つを理解する事で、心が迷いから解き放たれて輪廻の外に行けるという事です。

このように、全ての物は変わっていき実体がないという考えは、般若心経にも「色即是空」として表されています。

「色即是空」とは、「色」つまり宇宙に存在する全ての物や事象は、「空」つまり実体がないという意味です。

解脱した人のみ浄土へと行ける

煩悩を消し去る修行やこの世の真理に気づき解脱した時、人は輪廻転生の外へと飛び出します。解脱した人が死ぬと、次は浄土(極楽)に生まれます。浄土とは極楽であり、ここに生まれれば、再び輪廻転生のサイクルに入る事はありません。

浄土は、差別も争いも、競争もない世界と言われています。浄土には阿彌陀仏による説法も聞けますし、どこからか心地よい音楽が流れてきたり、食事の準備をしなくとも、自然と様々なご馳走「百味の飲食」が用意されます。

さらに、六道における天道の場合、人こそ長けれど、寿命があるのに対して、浄土に生まれると寿命がなく、永遠に仏の教えを聞きながら幸せに暮らせると言われています。

まとめ

私も含め人間道に生まれたという事は、深い業を背負っているという事です。業の力は絶大で、何度生まれ変わっても、私達を苦しめます。ですが、決して逃れられないわけではありません。

仏教の教えをしっかりと守り、実行していく事で、この六道から逃れられます。悔い改めるのではなく、自分の業を宿命と受け入れて、少しでも解脱に近づけるような努力が必要です。

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