みなさんこんにちは。今回はMLMビジネスをテーマにお話したいと思います。
MLMビジネスは、マルチ商法という言い方をされることもあり、犯罪だと思っている人もいると思います。しかし、いわゆるねずみ講とは異なるものです。特定商取引法による規制はありますが、違法なビジネスモデルではありません。
日本では、ロバートキヨサキ氏の著書「金持ち父さん貧乏父さん」で不労所得が得られると説明されているので、興味がある方もいると思います。
この記事では、必ずしもMLMビジネスをお勧めするわけではありません。あくまで中立的な立場で、ねずみ講との違いやメリット・デメリット等について考察していきます。
これからMLMビジネスを始める方にも参考にもなると思いますので、是非、最後まで読んでみて下さい。
MLMビジネスとネズミ講との仕組みの違いを解説
MLMビジネスとネズミ講のビジネスモデルは、似通う部分こそあるものの、根本的には全く異なります。法律上の扱いも違いますので、ここでしっかりと確認しておきましょう。
MLMビジネスとは特定商取引法における連鎖販売取引の事
MLM(マルチレベルマーケティング)ビジネスは、マルチ商法などと言われる場面もありますが、正確には特定商取引法第33条で定義されている「連鎖販売取引」の事です。
特定商取引法による定義では、「物品(又はサービス)の販売をする事業である事」「受託販売する者を特定利益が得られると勧誘する事」「特定負担が生じる事」を連鎖販売取引になる条件としています。
ここで特定利益が得られるというのは、「商品が売れたら、紹介料△△万円が入る」という仕組みになっている事です。同様に特定負担は、入会金やサンプルの商品購入等、名目に関わらず金銭的な負担を伴っているかどうかを指します。
基本的には、口コミによる紹介で商品を販売しますが、自分(親)の子となる販売者が商品を売ると、自分にも手数料が入る仕組みです。自分の子となる販売者を募り、グループ全体で商品を販売するのが主な仕事です。
ネズミ講は無限連鎖講の防止に関する法律で禁止されているビジネスモデルの事
ネズミ講は、法律で禁止されているビジネスモデルです。基本的には、MLMビジネスと同様に勧誘を行いますが、社会的な扱われ方は全く異なります。
まずネズミ講の主催をしてしまうと、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられます。勧誘をしただけでも20万円以下の罰金になり、ビジネスとしてネズミ講をやると1年以下の懲役に処せられる事もあります。
また、ビジネスモデルとしては、ネズミ講には商品が無く、お客さんも居ないのが大きな特徴です。人を勧誘するだけの組織になっているのがネズミ講で、商品やサービスの販売が目的となっているのがMLMビジネスという事です。
世間的な見られ方はMLMビジネスもネズミ講も同じである事が多い
MLMビジネスとネズミ講の違いを正確に理解している人は少ないと思います。ほとんどの人は、怪しいビジネスという括りで同一視しているのが現実です。
今からMLMビジネスをしようとしている方は、世間でネズミ講と同じように見られている、という点を理解しておかないといけません。自分の子となる販売者の勧誘をしようとすれば、周囲には怪しいビジネスをしている人と認識されてしまうでしょう。商品販売をする時も「マルチに関わっている人」という目で見られる事があります。
それでも不労所得の為に頑張るという人は良いですが、後で後悔する事の無いように、しっかりとデメリットについても確認しておきましょう。
MLMビジネスのメリット2つとデメリット3つ
次にMLMビジネスのメリットとデメリットについて、考察をしていきます。ビジネスモデルの特徴も理解出来ると思いますので、参考にしてみて下さい。
【メリット】ビジネスを始めるのに資本が必要ない
MLMビジネスは、多少の入会金の支払いはあったとしても、一般的な独立開業と比べると、ほとんど資金がなくても始められる、という特徴があります。主婦や学生、サラリーマンで副業としてMLMビジネスに挑戦する人もいますが、手軽に始めやすいのが理由だと思います。
まとまった資金が不要だという特徴は、金銭的なリスクが無い事を意味します。仮にビジネスが軌道に乗らなかったとしても、莫大な借金だけが残るという事はありません。
また、MLMビジネスに少し取り組んでみて、自分に向いていたら続けて、そうでなければ辞めるという事も可能です。まとまった資金が必要なビジネスモデルはしっかりとした事業計画を考えないといけませんが、すぐに行動に移せるのもMLMビジネスのメリットだと思います。
【メリット】MLMビジネスで成功すれば不労所得が得られる
MLMビジネスで成功すると、不労所得が定期的に入るようになります。自分の子となる販売者が商品を販売すると、利益の一部が自分にも入る仕組みになっているからです。不労所得は、ロバートキヨサキ氏の「金持ち父さん貧乏父さん」でも、非常に重要なものだと説明されていますので、関心のある人も多いと思います。
そして、不動産オーナーになったり、会社経営をするのと比べると、「自分にも出来そうだ!」と思えるはずです。実際にMLMビジネスで成功している方は、最初は、毎月5万~10万円でも良いので、不労所得を手にする事を目標にしていたと思います。人とコミニュケーションを取るのが好きな方には、MLMビジネスが大きなチャンスに感じるのでしょう。
【デメリット】MLMビジネスをするほとんどの人が稼げていない
次に、MLMビジネスのデメリットをご説明します。
MLMビジネスに参加するほとんどの人が稼げていないのが現状です。中には人が羨むような不労所得を手にしている人もいますが、それはごく一部の人だけだという事を理解する必要があります。
つまり、MLMビジネスに参加をしても、ほとんどの人は、稼げずに辞めていってしまうのです。勧誘に成功しても、残る人はほとんどいないでしょう。
あくまでも体感的なものですが、5万~10万円近く稼げるのは、100人中1~2人程度だと思います。MLMビジネスで稼ごうと思うなら、「勧誘の仕組み」が出来ている必要があります。ブログやSNS等も活用して、集客を如何に効率良く行えるかが、MLMビジネスで成功出来るかどうかのカギになるでしょう。
【デメリット】友達に嫌われたり信用を失う事が多い
MLMビジネスで友達を勧誘しようとすると、ほぼ間違いなく、その友達から嫌われます。
逆の立場で考えると分かります。MLMビジネスをしている友人が居て、その友人が「あなたにMLMビジネスの紹介をしたい」と言えば、面倒臭い、怪しいと感じるはずです。あなたが商品を売り、勧誘してきた友人にお金が入る仕組みだと分かれば、「ふざけるな!」と思うのではないでしょうか。
MLMビジネスは、アメリカで流行ったビジネスモデルですが、日本人の感覚とは若干ずれている気がします。自分の頑張りが他人の不労所得に繋がると聞いて快く思う日本人は、少ないのではないでしょうか。
つまり、MLMビジネスを進めていく程、友達に嫌われたり、人に煙たがられたりしていくのを我慢しないといけないのです。全く気にならなければ良いですが、そうでなければ、予め心の準備をしておいた方が良いでしょう。
【デメリット】特定商取引法による規制が非常に厳しい
MLMビジネスは、特定商取引法の規制対象となっていますが、ビジネス参加者にとって非常に厳しいのが特徴です。行政処分や厳しい罰則があるだけでなく、全てのルールを守るのが不可能だと思える程です。
特定商取引法によるルールを見ると、国の立場として「こんなビジネスはするな!」と言っている感じがします。厳格にルールを守るのが困難な規制なので、いつでも取り締まり出来る体制となっています。
ネズミ講とは違うので、国はやるなとまでは言っていません。しかし問題が生じれば、「直ぐに取り締まるぞ!」という姿勢をとっているのです。
このようなビジネスに参加するなら、少なくとも、特定商取引法の規制をしっかりと理解し、そのルールの範囲内で活動しないといけません。「ガンガン勧誘して稼ぐぞ!」と思っているかもしれませんが、思うように活動出来ない場合が多いという事です。
国は、個人事業主に対して、厳しい見方をしていますが、より一層厳しい見方をされているのがMLMビジネスだと思います。
特定商取引法によるMLMビジネスに関する主なルール
MLMビジネスをする方は、必ず特定商取引法のルールを理解しておく必要があります。ルールを理解せずに勧誘してしまうと、取締りの対象となる事があるので十分に注意しましょう。
勧誘をする際に「勧誘します!」と相手に伝えないといけない
MLMビジネスで販売員となるように勧誘する際は、相手に勧誘目的である事を事前に伝えないといけません。更に、入会金等の特定負担がある事や商品、業者の名称等も前もって伝えておかないといけないルールになっています。
このような事実を先に告げたら、ほとんどの人に「興味ない!」と逃げられてしまうはずです。そうならないようにする為、最初に「凄く稼げる可能性がある仕事があるけど興味ない?」等と興味を持って貰う為の説明をしてしまう人もいます。
ところが、最初に勧誘目的だという事を伝えないと、行政処分の対象となる場合もあるでしょう。あまりにしつこい勧誘をすると、組織全体が営業停止になる事もありえます。
契約を締結する時に法第37条の書面を交付しなければならない
MLMビジネスで運良く契約まで出来そうだという時に、「概要書面」というものを交付しなければいけないルールとなっています。概要書面に記載されているのは、次のような内容です。
- 統括者や販売者の氏名や住所、電話番号等
- 特定利益と特定負担に関する内容
- 勧誘をするに当たり、法律で禁止されている行為についての説明
また、契約が無事に締結した後は、「契約書面」を相手に交付しなければなりません。契約書面には、特定負担以外の義務や契約解除に関する事も記載する事になっています。
このような書面を交付せずに勧誘している人もいますが、何時も取締りを受ける可能性がある状態なので、非常に危険だと思います。
厳しい条件のクーリングオフ制度が適用されている
MLMビジネスにおける契約は、法第37条の書面を受け取った日から20日以内なら、書面でクーリングオフの申し出が出来るルールとなっています。
ただし、勧誘する者がクーリングオフを回避する為に嘘を付いたり、威圧的な態度をとった場合は、20日以上過ぎていてもクーリングオフが可能です。同様に法第37条の書面を交付していなければ、いつでもクーリングオフが可能な状態になるのです。
また、契約解除に当たって商品の引き取りが必要な場合は、勧誘した者が送料等を負担します。この際、商品が完全な状態でなかったとしても、損害賠償や違約金等は請求出来ず、契約解除を断る事も出来ないルールとなっています。
勧誘に成功しても中途解約やすぐに返品されてしまう事がある
クーリングオフの期間を無事に過ぎたとしても、次の5つの条件を満たしていれば、契約の解除が可能です。
- 入会から1年以内である事
- 商品の引き渡しから90日を過ぎていない事
- 商品の再販売をしていない事
- 商品を使っていない事
- 商品を無くしたり、毀損していない事
クーリングオフに比べると、条件は若干厳しいですが、中途解約のリスクが残っているのは確かです。勧誘に成功して商品が売れたと思っても、商品を返品されると、自分が在庫を持たなければいけないからです。
特定商取引法では、ここまでして勧誘を受ける者の利益を守ろうとしています。簡単に返品される様では商売になりませんので、どのMLMビジネスを選ぶかも重要なポイントになるでしょう。
電子メール広告を勝手に送信してはいけない
電子メールによる広告は、相手が事前に承諾していない場合は、原則として禁止されています。更に、電子メールによる広告を送っても良いと言われた場合は、承諾についての記録を3年間保存しなければなりません。
普通に考えて「MLMビジネスの広告を送っても良い?」と聞いたら、ほぼ100%の人は、「要らない」と言うでしょう。
但し、メルマガやフリーメールに付随した広告等、一部の例外はあります。全面的に禁止されているわけではありませんが、現実問題として、電子メールで勧誘していくのは、非常に困難だと思います。
大袈裟に商品を宣伝すると誇大広告と認識される
MLMビジネスでは、勧誘を熱心にすればする程「誇大広告」と認識されるリスクが高まります。勧誘をする本人が商品を気に入り、いかに商品が素晴らしいかを説明したとしても、勧誘された相手が「大袈裟だ!」と思えば誇大広告になってしまうのです。
このような誇大広告の宣伝をしてしまうと、特定商取引法による取締りで営業停止や契約解除になってしまう事もあります。
もし、あなたの宣伝活動で組織全体に迷惑を掛けてしまった場合、MLMビジネスが継続出来なくなる事もあるでしょう。大袈裟な宣伝をせずに簡単に売れる商品があれば良いですが、そうでない場合は、勧誘する者に大きなリスクがあると考えられます。
相手にとって都合の悪い事を隠してはいけない
MLMビジネスの勧誘では、相手にとって都合の悪い事実を隠してはいけない、というルールがあります。どのような事実が相手に不都合となるかは分かりませんので、「絶対にトラブルを起こすな!」というのが特定商取引法の立場だと思います。そして、トラブルが起きた際は、ほぼ間違いなく勧誘を受けた者が有利となるルールになっているのです。
相手にとって都合の悪い事実は、特定負担や契約解除の方法等です。問題が起きたら「確かに言ったはずだ!」と言えば良いと思うかもしれませんが、揉めたら勧誘を受けた人が守られるのです。国民生活センター等に相談されてしまうと、行政処分を受ける可能性が高くなるので注意しないといけません。
MLMビジネスの取締りで懲役刑を受ける事になる場合もある
特定商取引法の規制は、刑事罰を伴う罰則がありますので、絶対に守らなければならないものです。「バレないから大丈夫!」という安易な気持ちで勧誘を行うと、逮捕・起訴されてしまう事もあり得るでしょう。
MLMビジネスのような副業をする方は、不労所得等の夢を実現する為に始めると思います。しかし、特定商取引法のルールを無視して勧誘してしまうと、前科者になってしまう可能性もあるのです。
そのようなリスクも踏まえ「私にはこれしかない!」と思えるなら、思い切ってチャレンジしてみるのも良いと思います。逆に、勧誘等に自信が持てない場合は、他の副業についても調べてみて、自分に合うビジネスを見付ける様にしましょう。
まとめ
MLMビジネスは、違法ではありませんが、社会での印象が良くないのは確かだと思います。しかし、MLMビジネスで成功して富裕層の仲間入りを果たす人もいますので、夢や可能性があるのも事実です。
MLMビジネスを始める方は、色々な人の話を聞くのが良いと思います。現在、MLMビジネスをしている方だけでなく、過去にやっていた人や知り合いにやっている人が居る人等、色々な立場の人の意見を総合的に判断する事が大切です。
MLMビジネスについて、偏見を持たず、過度に期待しない見方をすれば、冷静にチャレンジするかどうかを決められると思います。